「憧れの上質な暮らしが手に入る新築マンション 堂々完成」

「宅地分譲開始 三ノ宮駅まで20分」

など、新聞の折り込み広告やネットの広告には、いかにも新築が最上と言わんばかりの文句が並んでいますね。

先日、新聞で目にした「新築がお好きですか?」すなはら・ようすけ著 によると、

日本人の新築信仰は単に日本人が新し物好きだから、という理由だけではなく、(畳と女房は新しい方が良い、なんて言葉聞いたことないですか?失礼な話ですが(笑))

国の政策<政治>が関係している、というのです。

「住宅すごろく」と呼ばれてきたように、日本では最終的に庭付き一戸建てを購入する人生が望ましいとされがちですが、好んで新築を買うのかといえば一概には言えない。家族向けの賃貸住宅が少なかったり、優良な中古住宅を見極めるための情報が少なかったりした結果、安心感のある新築を何となく選ぶ傾向にある、と著者のすなはらさんは語ります。

持ち家社会は必ずしも日本の伝統ではなく、1970年代半ばまでの政府の方針は、公営住宅等の整備による公的な賃貸住宅の充実で、個人の持ち家に公費を投入して拡大させる考えはあまり強くはなかったとか。

高度成長が終わり、公的賃貸住宅の整備が滞る中で、住宅の取得を推奨する政策に転じ、低金利融資や住宅ローン減税を充実させ、日本特有の持ち家社会がつくられた、ようです。

確かに、この度の消費税増税に伴う住宅ローン減税の拡充や住宅エコポイントの復活も、「家を持たせよう」=「住宅関連が潤えば景気対策になる」 という意図が見えます。

なるほど、ちょっと見方を変えれば、新築信仰は政府の政策により創られたもの、と解釈することもできそうです。

では、その一方で昨今話題の空家問題はどうなるのでしょうか?

新築をどんどん造るような政策をし続ける、ということは人口が減少している、または都心に人口が流入しているエリアではどんどん空家が増える、ということになります。

実際、子供が巣立って広すぎる家を持て余す高齢者が多く住むニュータウンエリアには、空家が目立つ場所もあります。

住宅瑕疵担保保険や既存住宅現況検査など中古住宅に対しても新しい法律が数年前から出来ましたが、まだまだ新築が好まれる傾向にあります。

中古住宅を単にリフォームして綺麗にするだけでは、新築に近付けていくだけなので、それとは別の付加価値をつけた住宅を知恵を絞って生み出すことこそ、私たちのような業者の使命だなぁと改めて感じました。

さぁて、頑張るぞ――!