東京都は5月24日、都のエネルギー環境計画について議論する環境審議会を開き、「環境確保条例」改正案の中間答申をまとめた。この中で、中小規模新築建物に太陽光発電パネルの設置を義務づける方針を明示した。対象は都内への分譲・注文住宅供給が、延床面積で年間2万平方メートル以上の事業者(ハウスメーカーなど)。日照条件などを考慮した義務量(総量)を事業者ごとに設定し、柔軟に対応できる仕組みを整える。 (時事通信)

東京都の都環境審議会は、5月24日、戸建て住宅を含む都内の新築建物に、太陽光パネル
設置を義務付ける中間答申を出しました。これからパブコメ、都議会での決議と手続きが
ありますので、紆余曲折はあるでしょうが、個人の財産権に一歩踏み込んだ内容で、今後
の脱炭素対策のあり方について、議論が一歩進むことは間違いありません。

義務の対象は、供給延床面積が2万平米以上のハウスメーカーで、建築主は規制対
象ではありません。年間約200棟以上を東京都内で販売するメーカーで、国の住宅トップ
ランナー制度の対象企業とほぼ一致。東京都の新築住宅の5割強が対象になるとされてい
ます。設備費用は当然上乗せわれますので、購入者の意向も検討する必要があります。

現在の太陽光発電の買い取り制度では、2022年の買い取り価格は17円/kWhに設定されてい
ますので、20円~30円程度の電力会社の電力単価よりも安い状況です。
太陽光発電の発電単価が17円を下回れば(太陽光発電協会資料では13.2円)、売電も利益
が出ますが、安い電気を売って高い電気を買うよりは、できるだけ自家消費した方が良
く、住宅用の太陽光パネルは、固定価格買い取り制度初期の、電気を売って設ける投資か
ら、自家消費と売電を組み合わせて儲ける投資へと変わっています。

一方で、太陽光発電への補助金は続けられていますので、蓄電池設備の導入も含めて助成金の対象となるようです。

東京都も国も、2050年の脱炭素、ゼロエミッションを目標にしていますが、そのためには
全ての建物がネットゼロ以上である必要があるわけで、新築だけではなく、既築あるいは
中低所得者の住まいをどう脱炭素化していくかが次の課題です。