管理不全マンションが増え続けている

新築マンションが次々と建設が進む一方、国の調査では全国の3割のマンションが築30年以上。ある行政の調査では、老朽化したマンションの6割近くが適切に管理されていない”管理不全”の状態であるとみられることが分かりました。

以前に行われた自治体の調査では、管理組合すらないマンションが少なくとも700棟近くにのぼることが分かったそうです。特に東京都が突出して512棟、次に北九州市が38棟、そして千葉県が21棟と続いています。また、管理費を徴収していないマンションも、東京都で243棟、熊本市で30棟など、8自治体で283棟あり、修繕積立金を未徴収のマンションも21自治体で720棟あり、東京都で417棟、北九州市で96棟、北海道で61棟があったそうです。
国の推計では、管理組合がないと確認されたのは200棟に1棟の割合だそうですが、自治体が実施するアンケート調査さえ応じない問題を抱えているマンションは相当数あり、管理組合がない割合はもっと増えるとのことで、建物の老朽化とともに「管理不全マンション」が今後ますます増え続けるは間違いないようです。

管理組合あってこそのマンション

マンションは本来、住民による管理組合をつくることが法律で定められています。管理組合自体がない、ということは当然ながら修繕の目途も立たず、老朽化が進んでしまいます。ちなみに国の指針ではおおむね築12年ごと大規模修繕工事が必要とされていますが、建物の老朽化に合わせて住民の高齢化が進み、管理組合の役員が決まらず、管理組合が事実上の解体状態→大規模修繕工事などが実施されないということも考えられます。

そのマンション大丈夫?

監理に係る重要事項調査報告書の例

マンションを買おうと検討した場合、管理組合があるのか、大規模修繕計画はどうなっているのか、修繕積立金はどれくらい貯まっていて滞納はどれくらいあるのか等は、不動産会社に依頼すれば調査し確認することが可能です。「管理に掛かる重要事項調査報告書」と呼ばれているものです。(5,000円程度かかる場合が多い)

マンションの間取りや金額などの条件ももちろん大切ですが、マンションの価値は管理にあるといっても過言ではありません。契約前にはしっかり確認しておきましょう。

マンションの寿命って30年なの?

マンションの寿命は30年と聞いたことがある方も多いと思います。

実はこれは「建て替えたマンションの平均年数」であって、実際の寿命ではないのです。

都心部では、建て替えた方がメリットが出ることが多く、早いサイクルでの建て替えが進んだこともあってこの「マンション30年寿命説」が出来たようですが、国交省がまとめた「RC造(コンクリート)の寿命に関する既往の研究例」によれば、物理的な寿命は117年とされています。

東京原宿の「同潤会アパート」は今は表参道ヒルズに建て替わってしまいましたが、実際に住宅として使用された期間は70年ですし、もちろん修繕や新築時の施工の良し悪しにもよりますが、30年というのは極端に短いことが分かります。

価格も手ごろな「ビンテージマンション」も検討されてみてはいかがでしょうか?