タイトルの『都市空間向上計画』という言葉、ご存知でしょうか?

これは、国が掲げる立地適正化計画「コンパクト・プラス・ネットワーク」の地方版(神戸市の場合)なのですが、不動産の売買にも関係してくる大切なお話しです。

立地適正化計画「コンパクト・プラス・ネットワーク」って何?

日本は今、人口減少と高齢化という壁が目の前まで迫ってきています。これからの30年の間に人口は2割減少し、高齢者は3割増加、生産年齢は3割減となると予想されています。

こうした中、人口減少における新しいまちづくりの在り方として「都市再生特別措置法」という法律が改正され、都市全体の構造の見直しということから「コンパクト・プラス・ネットワーク」(立地適正化計画)が出来上がりました。

で、具体的に私たちの生活とどう関係があるかというと、

行政はこれからの人口減少に対応するため、要は街を「かしこく縮めよう」(コンパクトに)とする計画なのです。少なくなった人口をひとつに固めて(居住を推奨する地域)そうでない地域(ゆとりある居住空間・移転推進区域)とのメリハリをつけよう、というわけです。

国土交通省の立地適正化計画 意義と役割

詳しくは国土交通省の立地適正化計画 意義と役割をご参照頂きたいのですが、目指すのは「利便性に優れたコンパクトな街」とされています。

立地適正化計画区域では「都市機能誘導区域」のまわりに「居住誘導区域」を配置し、無理やムダのない街づくりを目標としています。

神戸市の取り組みは?

 

 

 

 

神戸市では「50年後も心地よく健やかに住み続けられる街」づくりとして、このコンパクト・プラス・ネットワークのイメージ図をHPに掲載しています。

 

 

 

居住に関する方針として4つに分類した区域の説明もありました。

詳しくはこちら「神戸市都市空間向上計画」をご参照ください。

今後のスケジュールは、

2018年(平成30年) 3月~4月 基本的な考え方(案) 公表、市民意見募集 (12日まで)
2018年(平成30年) 7月頃    計画素案 公表、市民意見募集
                     ワークショップ等の開催
2019年(平成31年) 1月頃    計画案 公表、市民意見募集
2019年(平成31年) 6月頃    計画策定 

一つ目の 「基本的な考え方(案)」が公表され、市民意見の募集が終了し、7月頃の計画素案を待つ状況となっています。

神戸市都市空間向上計画のメリットとデメリットは?

私が考えうる、メリットとデメリットについてですが・・・

まずメリットは
・設定区域の人口規模が確保され、民間・公共サービスの維持が可能となる
・設定区域それぞれにおいて、交付金など国からの支援がなされる

ではデメリットは
・居住推奨区域でない場所で、不動産価値の下落
・居住推奨区域でない場所で、空き家の増加スピードが加速する
・居住推奨区域でない場所では、従って民間サービスの撤退も早まる

私たちの住む区域が今後どんな「区域」になるのかは、今後の行政からの報告を待つしかないのですが、

不動産業界に携わる人間としては、非常に気になるところです。

また何かが分かれば、ご報告したいと思います。

人がどこに住むのかは、法律の定めの中であれば自由であるはずです。しかし、人口減少など今までとは違った世の中の流れの中で、住むことはできるけれど「不便」な区域が今後は顕著になる、ということなのですね。

あえての田舎暮らし、ももちろんありですが、不動産の売買をご検討の方は長いスパンで人生計画を考えられることがより大切な時代になってきたと実感します。